今回の奥様

さおりさん(仮名)

赴任国:ホーチミン(ベトナム)
期間 :2009年03月〜 2013年09月
家族 :夫、息子(当時6歳)

1. 充実していた北海道での暮らしに突然の別れ…


当時、札幌で充実した生活を送っていたさおりさん。
土木関係の会社に勤める旦那さんの赴任に伴ってベトナムに駐在することが決まったときは、正直ショックだったそうです。

「北海道が大好きで、友人関係にも恵まれていたので、そこを離れることの寂しさがとても強かったですね」

赴任が決まってからは息子さんの学校選びや予防接種、引っ越しの準備などに追われ、別れを惜しむ間もなくベトナムでの生活がはじまりました。

住まいは旦那さんに決めてもらい、ホーチミンの中心街近くの住居ビルに滞在。
光熱費などが日本よりも安く、日本人も多かったので暮らしやすかったそうです。

息子さんもインターナショナルスクールでの環境にすぐ馴染むことができました。
出国時には自分の名前と年齢を言える程度だった英語力が、半年で日常会話ができるほどに成長したそうです。

「息子はお友達とよく遊んでいたので、自然に英語ができるようになりましたね。
リーディングだけは家庭教師を雇って1年間学習させましたよ」
とさおりさんは振り返ります。

2. 引っ越しを機に、生活はより快適なものに


比較的順調にスタートした滞在生活でしたが、一方で車の騒音や排気ガスなど、中心街ならではの問題に悩まされることも。
また、住居ビルは息子さんが通う学校から遠く、公共の交通機関も整っていなかったので、毎日の送迎がとても大変だったそうです。

そこで、さおりさんは引っ越しを決意。
旦那さんの会社でも住居を探してもらえるのですが、なんとさおりさんは自分の足で住みたいアパートを探して大家さんと交渉し、最終的な契約だけをベトナム人の会社スタッフに任せたそうです。

こうして手に入れた新しい住居は学校のすぐ隣。
中心街とは違って静かで緑に囲まれ、夜は星空が広がる、まるでリゾート地のような環境だったそうです。
送迎のストレスからも解放され、学校のボランティア活動に積極的に参加するようになりました。

「何よりも良かったのは、近所にクラスメイトのご家族がたくさん住んでいたので、頻繁にお互いの家を行き来して遊べるようになったことです」

また、さおりさん自身も日本人のコミュニティに固執することなく、学校のママたちとお付き合いするように心がけていました。

「日本人の奥様の社会は、赴任者の職種に応じて暗黙の階級があると聞いていたので、深入りはしないようにしていました。
交流関係も広く浅く付き合うのではなく、心から信頼できる相手と関係を築いたおかげで、帰国後も本当に良い友人たちなんです」

3. メイドさんに要注意?


アジア圏に駐在する場合、家事や子どもの世話を代行してくれるメイドを雇うことが決められています。
日本人の家庭は、現地のメイドにとって人気の就職先らしいです。

「なぜかというと、日本人は欧米人に比べて要求が少なく文句も言わないのでラクなんですよね。
みんな日本人の家庭で働きたがるので、人手に困ることはありませんでした」

一方、「お金さえ出せば家事も育児も任せてオッケー」というわけにはいかず、メイドによっては思わぬトラブルに見舞われることも。
実際に、さおりさんも雇ったメイドにモノを盗まれたり、お金を貸してほしいとせがまれたことがあるのだそうです。

「メイドさんを雇ってから、急に醤油の減りがとても早くなったんです(笑)。もっと大胆なのが、朝来たときに比べて、帰るときのほうが明らかに荷物が増えていたことも……。
また、『台風で家が壊れてしまったから、修理費を貸してほしい』と言われたことがあります。そういうときは、貸すなら返ってこないものとしてお金を貸していました」

4. スーパーメイドとの出会い


では、メイドとのトラブルが起きてしまったら、どのように対処すればいいのでしょうか?
さおりさんは、きっぱりと「メイドを変えること」だと言います。

「メイドさんは気軽に変えることができるので安心してください。
嫌なことがあったり、合わないと思ったりしたら我慢せずに、他のメイドさんをお願いすることをおすすめします」

そして、さおりさんはメイドを変えることによって、とても優秀なスーパーメイドに出会うことができたのだそうです。

スーパーメイドのすごいトコロ

  • クリーニングのサービスよりも、メイドのほうが格段に上手。
  • 帰宅して席に座ったとたんに、食事が出てくる。
    短時間でテキパキと働いてくれる。
  • 和食も洋食も本当に素晴らしい腕前で、まさに「我が家の専属シェフ」という感じ。
    野菜、肉、魚の栄養バランスがきちんと考えられていて、味付けも日本人好みに。
  • 体調が優れないときはおかゆを作ってくれるし、デザートにプリンやケーキをよく焼いてくれた。
    面倒見がよくて、気遣いもできる。

などなど…。
頼りになる「スーパーメイド」の存在もあって、さおりさんは安心して駐在生活を楽しめたと言います。

では、優秀なメイドに巡り会うには、どんなコツや秘訣があるのでしょうか。
さおりさんはこのように話してくれました。

「日本人の家庭で働いたことのあるメイドさんがおすすめですよ。日本人ならではの感覚がわかっているので、習慣や価値観の違いによるストレスがだいぶ減りました。
それから、知人に紹介してもらうのも良いと思います。知人のつながりであれば、メイドさんも悪いことをしにくいですからね(笑)。
また、自分の苦手分野だけをメイドさんにお願いしている日本人ママもいましたよ」

海外生活では住まいはもちろん、メイドもお金を払えば安心ということはなく、自分で見極めて選ぶことが重要なようです。

5. 成り行きに任せず、自分で道を切り拓こう!


4年半の海外生活を経て日本に帰国したさおりさん。自らの成長をこう語ります。

「母として心身ともにたくましくなりましたし、帰国後はちょっとしたトラブルにも動じなくなりました(笑)。
英語も得意なほうではなく、かろうじて日常会話ができる程度だったのですが、学校のボランティア活動に参加することで、英語力だけでなく、異文化の中でのコミュニケーション能力も向上したと思います」

ベトナムに行く前は日本を離れるのが寂しく、現地でも色々と大変なことがありましたが、「もう一度海外生活をしたい!」と思えるほど良い経験になったと振り返るさおりさん。
最後に海外生活の素晴らしいところを聞くと、

「一番良かったのは、息子が学校生活を楽しめたことです。お友だちと家族ぐるみで仲良くなれましたし、他国の人の温かさも感じることができました。
帰国のときは涙のお別れで、悲しむ子どもたちの姿を見るのがつらかったですね。
あと、東南アジアは近隣国に行きやすいので、長期休暇を利用してシンガポールやバンコクを旅行できたのも良い思い出です。
異国の地だからといって受け身になるのではなく、何事も自分で選んで前向きに行動すれば、きっと充実した毎日が過ごせると思いますよ」
と笑顔で答えてくれました。

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