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ストーリーを組み立てること
どんなに興味深い話でも、伝え方によって、聞き手の理解度は大きく変わります。
そして、さまざまな伝え方があるなかで、効率的な伝達方法の一つにストーリーテリングが存在します。
ストーリーテリングとは、語り手が、相手に伝えたい情報や概念を、それらを連想させるような印象的な体験談やエピソードなどの「ストーリー」を用いて伝えることで、聞き手の心に強く印象づけることができる話し方です。
プレゼンがうまいスピーカーの多くはこのストーリーテリングを積極的に活用しています。
では、どのようにストーリーを組み立てればよいのでしょうか?
最初に、プレゼンで話すトピックに対して聴衆の知識レベルと関心度をあらかじめリサーチしておきましょう。
リサーチにより判明したことを基に、何をどの程度プレゼンで話すのかを決めるとよいでしょう。
そして、話す内容が決まったら、以下3つのポイントをおさえてストーリーを組み立てるのがコツです。
- トピック(テーマ)の紹介(問題提起)
- そのトピックについて独自の見解(問題解決策)
- ストーリー終了後に聴衆にどうなって欲しいか
聴衆にメッセージを訴えかけ、これまでとは全く異なる世界を見せ、時には彼らの人生を変えてしまうことさえあるストーリーはこういったステップを経て出来上がるのです。
聞き手に響く話し方ができるようになるために、ここで紹介したストーリーを組み立てることを準備の段階で疎かにしないようにしましょう。
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伝え方を決める
プレゼンには、主に3つの方法でメッセージを伝える方法があります。
- 台本をプロンプターから読み上げる
- プレゼンをいくつかのセクションに分け、セクションごとに話す内容を箇条書きにし、箇条書きを見ながら話す
- プレゼンターが一語一句すべての台本を記憶して話す
1から3と、数字が多くなればなるほど、聴衆から評価されるプレゼン手法となりますが、同時に難易度もあがります。
例えば1番目は、台本を一言一句読むことになりますので、台本に書かれたことすべてを伝えることが可能ですが、逆に、聴衆と目を合わせることは困難です。
また、どうしても一本調子になってしまい、抑揚をつけることが難しくなり、聴衆の感情を揺さぶる話し方にはなりません。
そのため、可能な限り1番の方法で伝えるのはやめておいた方がよいでしょう。
次に2番目の方法。
セクション毎に要点を箇条書きのメモにし、それをチラ見しながらお話しすることで、聴衆の目を見てコミュニケーションを取ることが可能です。
ただし、1点だけ注意点があります。
それは、あまりメモに意識を奪われないようにしなければならないこと。
聴衆はメモを凝視しているプレゼンターにあまりよい感情を持つことはありません。
また、メモ書きが読めずに「これ何のことだっけ?」と思い出せず、プレゼンを途中で止めてしまうようなことがあってもいけません。
あくまでもメモ書きは補助ツールとして使う程度にとどめることがコツで、そのためには、概要がすべて頭の中に入った状態でプレゼンに臨むことが必要です。
そして、最後の3番目の方法。
これは、TEDで人気のプレゼンターやソフトバンクの孫正義社長、アップル創業者のスティーブ・ジョブス氏、元Microsoft社長のビル・ゲイツ氏など、プレゼンで話し方が上手い人が行うスタイルです。
何も見ずに、一言一句覚えて、自然に話すことができるようになるまで、何度も何度もリハーサルでプレゼンの練習をするのです。
自然に話をしているように見せられるこの話し方で、聴衆と目を合わせてコミュニケーションをとり、抑揚をつけて話すことも可能なため、時間さえ許せば、最も理想的なプレゼンスタイルだと言えます。
しかし、これができるようになるには相当な労力と準備期間が求められます。
何も見ずに話せるようになる自信があるならば3番目の方法、自信がない方は2番目の方法で伝達するのが現実的かもしれません。
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体の動きを矯正する
多くの人にとって、人前で話をするのは、簡単なことではありません。
どうしても緊張してしまいますし、体が固まってしまったり、照れ隠しのために貧乏ゆすりをしてしまう方もいます。
プレゼンターがこのような動きをしてしまうと、どうしても弱々しく見えてしまい、最悪、大切なメッセージが軽視されてしまうことがあります。
そのため、プレゼンターは聴衆が違和感を感じないように体の動きを矯正することが必要なのです。
プレゼンで成功するには、以下を心がけて話すとよいでしょう。
- 体を左右に揺らさない
- 体重を片方の足からもう片方の足へ移動しない
- 説明の時は、手振りでジェスチャーする
- 聴衆と積極的にアイコンタクトをとる
これらは訓練次第で必ずできるようになりますので、リハーサルの最中に意識して練習し、本番でもできるようにやってみるのがコツです。
また、プレゼンの前に、歩き回ったり、背伸びをしたり、体を伸ばしたりすると本番で体が硬直しなくなりますのでオススメです。
ステージに上がる前に深呼吸をすることも効果的ですのでぜひお試しください。
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メディアを用意する
メディアとは、プレゼンを円滑に進行させるための補助ツールで、ビジュアルエイドとも言います。
多くの企業ではプレゼンのビジュアルエイドに、パワーポイントを使うことが一般的です。
(パワーポイントの使い方については、それだけで一冊の本ができあがるくらいたくさんのポイントがありますが、代表的なものを抜粋し下の表にしてまとめました)
パワーポイントを用いたプレゼンのDo’s and Dont’sの一例 |
Do’s(推奨) |
- 見やすくシンプルなデザインでスライドを作成
- 絵や写真、イラストを活用
- バランスを考えた彩色
- 見やすい大きめのフォントの使用
……など |
Dont’s(非推奨) |
- メモ代わりに使う
- スライドに書かれている言葉を読む
- 文字をギッシリ詰め込む
- 専門用語の使用
- 重要な点がわかりにくいグラフの採用
……など |
一方でTEDに出演する講演者の多くは、スライドをまったく使わないことがほとんどです。
このことから、パワーポイントは視聴者の層に合わせて使用することがよいと言えます。
他にもビデオを含めた動画を活用することがあります。
例えば、カラスの知能に関するプレゼンで、カラスがフックを曲げてチューブから餌を釣り上げる映像を見せることができると、プレゼンターが説明するよりもはるかにわかりやすくメッセージが伝わります。
ただし、長い動画は、視聴者の集中力を失う危険性がありますし、企業のビデオで宣伝やインフォマーシャルのようなものは視聴者に不快感を与えてしまうことがあるので注意が必要です。
そして、商品サンプルやダミーなどの見本を使ってもよいでしょう。
メディアはあくまでもプレゼンのメッセージを分かりやすくするために補助的に使うのがコツです。
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リハーサルをすること
プレゼンで成功をおさめたいならば、リハーサルをすることが必要不可欠です。
リハーサルの間に新しいことに気づきがあったり、過ちを修正することが可能ですので、できる限り早い段階でプレゼンで話す内容を固め、リハーサルに打ち込むのがコツです。
孫正義社長、ビル・ゲイツ氏、スティーブ・ジョブズ氏などのプレゼンが得意な人は、大企業の社長で多忙であるにも関わらず、漏れなく長時間プレゼンのリハーサルをしていることをご存じでしょうか?
プレゼンで成功するには、アイデア、物語性とスピーカーの情熱が必要ですが、これらは頭の中でシミュレーションするだけではなく、何度も練習を繰り返す中で改善されていくものなのです。
たまに即興で話される方もおられますが、大抵の場合、何度もリハーサルをした人よりも上手くいきません。
努力は嘘をつきません。可能な限りリハーサルに時間を費やしましょう。