1.事前準備をする
事前準備の大切さを表す言葉に、アメリカの16代大統領エイブラハム・リンカーンの言葉で
”Give me six hours to chop down a tree and I will spend the first four sharpening the axe.”
「木を切るのに6時間貰えるなら、最初の4時間は斧を研ぐのに費やすだろう」
があります。
この言葉は本番よりも準備に時間をかけることの大切さをあらわしています。
これは会議でも同じです。
では、会議で発言するために、事前準備で何をやるべきでしょうか?
例えば、以下のようなことができます。
- 会議の資料全体に目を通し、質問や思いついたことを考える
- メインスピーカーに関連することを調べて、質問やコメントを考える
- 議題に関することを調べて、質問やコメントを考える
そして思いついたアイデアをメモにまとめれば良いのです。
メモはできれば英語で、一つのアイデアに対して2、3行くらいの箇条書きのものを用意することができれば理想的です。
最低でも、日本語で箇条書きのメモを用意するようにしましょう。
2.質問をする
質問は、会議の中で、他の人に対してやる気を見せる最もわかりやすい動作の一つと言えます。
存在をアピールすることができますし、良い質問であれば付加価値をもたらすこともできます。
ただし、気の向いたときに適当な質問をして良いわけではありません。
TPOに合わせることが必要ですし、会議の進行を妨げるようなものであってもいけません。
では、どのように質問をすれば良いのでしょう?
うまく質問をするにはコツがあります。
例えば、以下のような形式で質問するのもひとつの手です。
- Open-ended questions - オープン・エンデッド・クエスチョンズ:
自由形式の質問。質問することで参加者に議題に関する意見を求めます。これを行うとさまざまな意見が生まれ議論になり会議が活発になります。活気ある会議にしたいときにすると良い質問です。 - Follow-up questions - フォローアップ・クエスチョンズ:
補足説明してもらうことで不明瞭な点を明らかにする目的の質問です。しばしば会議は疑問が生まれることで進行が止まります。そんなときに疑問を解決し、会議を活気づけるのがこの質問です。 - Leading-questions - リーディング・クエスチョンズ:
具体的な回答を促す質問で、会話を特定方向へ導く目的で使います。回答者に不利になる誘導尋問にならないことが大事です。回答者が悩んでいるときに、助け舟やヒントを出す目的で使うと良いでしょう。
他にも、会議の中で疑問に思ったことをストレートに質問したり、事前準備中に疑問に思ったことを質問したりすることもできます。
気の利いた発言ができそうにないときは、このように質問をしてみるのも良いでしょう。
3.悪い印象を与える言葉は避ける
英語には言葉のニュアンスを知らずに使うと悪い印象を与えてしまうものがあります。
例えば、Maybe、I think、 Sorryがそうです。
これらの言葉について、詳しく解説しますね。
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Maybeについて
Maybeは「おそらく」「たぶん」「〜かもしれないですね」と言った意味合いで使う言葉です。
ビジネスシーンでも普通に使いますし、失礼な言葉ではありません。
でも、Maybeという言葉は、ときと場合により、英語圏の人には、消極的でやる気がないと思われることがあるので注意が必要です。
例えば、
Are you interested in joining the new project?
あなたは新しいプロジェクトに参加することに興味がありますか?
という質問に対して、
Yes. Maybe I’m interested.
はい。興味があるかも知れません。
と答えたら。
あなたは「内容によっては参加したい(高い確率で参加したい)。」と伝えているように思われるかも知れません。
でも、実際には、英語圏の人には「内容によっては参加したい(あまり参加したくない)。」と伝わってしまいます。
言葉のニュアンスを正確に理解していないと、本来とは逆の意味で伝わることがあるので注意が必要なのです。
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I thinkについて
I thinkは「私は〜のように考えます」という意味で使いますが、これも使い方によっては誤解を与えるので注意が必要です。
例えば、
I think I can do it.
私はできると思います。
と、
I can do it.
私はできると思います。
の2つの文章があります。
翻訳すると同じになりますが、これらは全く異なることを伝えています。
前者は、「私はできると思います(できない可能性もある)。」と伝えているのに対して、後者は「私はできると思います(100%できる)」と言い切っているのです。
また、I thinkという言葉は、主観的な意見を述べるので、客観的な証拠と一緒に発言された意見よりどうしても主張が弱くなってしまいます。
そのため、会議で発言する際は、極力 “I think”を使用しない方が良いのです。
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Sorryの場合
Sorryという言葉を使うときにも注意が必要です。
日本語では「すみません」という言葉を日常的に使用しますよね?
例えば、謝るとき、感謝の意を表すとき、人に呼びかけるときなどに使うことができます。
本当に便利でカジュアルな言葉です。
でも、これと同じ感覚でSorryという言葉を気軽に英語に用いるのはあまり得策ではありません。
英語のSorryは、
- 謝罪、それも深謝するとき
- 相手に聞き返すとき
- 共感や同情を示すとき
- 後悔の念を示すとき
と言った、よりフォーマルな機会で使われる言葉なのです。
Sorry, could you please repeat that?
すみませんが、もう一度言っていただいてよろしいでしょうか?
と英語圏の人に伝えると、相手は「なぜ、この人は必要がないのに謝るのだろう?」とあなたの態度を不快に思われることがあります。
言葉に重みがあるので、英語の会議で発言する際は、Sorryも極力使用しない方が良いでしょう。
4. 自分から話す
エグゼクティブ・コーチのジョエル・ガーフィンクル氏によりますと、発言するのを待てば待つほど、自責の念を生み、引っ込み思案になる時間が長くなり、会話に参加するのが難しくなるそうです。
その対応策として、自分が最初に発言することで会話の主導権を握る方法があります。
人が発言した後に、その意見を覆すために持論を受け入れてもらうのは相当な労力が求められますので、そうなる前に自分から話すことで自らが主導権を握るのです。
ひとことふたことコメントを最初に述べるだけで会話の主導権を握り、周囲から良い評価を得ることができますので、スマートな選択肢といえます。
5. 英語で発言するのが苦手なことを割り切る
あなたが英語で発言することが苦手なことを、多くの同僚は知っています。
そんな中、あなたが拙い英語で一生懸命話すと、その前向きな姿勢にほとんどの人が好感を持つことでしょう。
シンプルな単語だけを用いて話しても良いので、はっきりとした発音でしっかりと話しかけるように心がけましょう。
そして、詰まりながらでも良いので、自分の考えをはしょらずに最後まで述べることが大事です。
多くの人が英語が苦手なために、面倒がったり、恥ずかしがったりして、会議の中では黙っているので、あえて同じように英語で話すことが苦手なあなたが発言するのです。
挑戦者は英語圏ではとても評価されます。
前向きで頑張る姿勢が評価されるのです。
どんなに苦手でもがんばって発言することがとても大切なのです。